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国連会議で見えたもの ①

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さて、今回は2月~3月下旬にかけて、急きょ、国連が主催する国際会議における国連との調整業務に携わってほしいというオファーを受け、仙台に約1か月、入っていました。

ここで経験した話をしたいと思います。

 

この国連の案件において、私が感じたことは2点に絞られるのではないかと思います。

1つ目は、国連という世界において他に類のない特殊なパワーを持った組織の下における世界法の適用によってもたらされるものと、もう1つは、私たち日本人が日本語を話すことのできない人々を目の前にしたときに、どのような反応を起こすかということです。

 

さて、皆さん、「国連」がある特定の地域で国際会議を開くといった時、私たちの日常とは全く異なる点がどこにあるかご存知ですか?

私もこの話を聞いたときに、久々に背筋がゾクゾクしたのですが、答えは、国連が指定した特定の日時から国連が会議終了とするまでの期間、その空間が国連のブルーゾーンになるということです。

つまり、特定の時間を機に、国連が指定したエリアが日本の法律の及ばない、国連法によって統治される空間になるということです。これは私にとっても初の経験でした。

 

具体的な例を挙げると、銃の所持です。

日本では銃の携帯は法律で禁止されていますが、国連のブルーゾーンの中ではセキュリティ・スタッフによる所持は許可されます。

逆にセキュリティ・スタッフは銃を所持することが必須となります。

そして、必要に応じての発砲も許されます。国連法に準じていれば、その行為は正当な行為とみなされます。

なお、本会議中、唯一、彼らが銃の所持を行わなかった瞬間があります。

どのタイミングかお分かりになりますか?

それは、天皇・皇后両陛下が会場内にいらっしゃる間でした。

ある意味、改めて、日本の皇室の世界的な影響力を感じた瞬間でした。

 

また、別の例を挙げると、インターネット法の適用も異なります。

例えば、httpsに対する扱いです。

少し技術的な話になりますが、httpshttpによる通信を安全に(セキュアに)行うためのプロトコルならびにURIスキームなのですが、このhttpsの通信に対し、別のドメインへの誘導は、現在、インターネット国際法においてハッキングに値するとして罰せられます。

ところが、国連法においては、これは全く適用外になります。

国連が会議を行う際に、国連指定のサイトに通信を誘導することは、国際協定が結ばれており、犯罪扱いにならないそうなのです。

この事実を聞き出すまでに約2日かかりましたが、国連の担当者がそのことを言わなかったのは、彼らにとっては周知の事実で、私たちがそのことを知っていると思っていたからでした。

 

数え上げればきりがないのですが、国連の案件だけではなく、日本とその他の国の人々との調整業務に携わると、必然的にこういった今までの常識とは異なる事実に対面することが多々あります。

これらをどのようにうまく両者に伝えていくのかが、私たち、調整業務に携わる人間の技量になるわけですが、残念ながら、これまでの経験値として、どちらかというと、今までの経験値にない事実が出てきた場合、日本人のほうが上手く受け入れられないケースのほうが多いように感じています。

これは次回のコラムの内容にもつながるのですが、日本の人が日本人以外の人を目の前にしたときに、独特の拒絶反応を示すことが多く、調整業務に入る多くの語学スタッフがそれを感じています。

 

この独特な反応は、目の前に、見たこともない食べ物が出され、食べなさいと言われた時に、「この人たちが食べているんだから死にはしない」と腹をくくって、それを食べることができないメンタリティに似ています。

その辺りに日本人のメンタリティの弱さの原因があるのではと、私は思っているのですが。

次回はその辺りを探っていきたいと思っています。

 

 

【参考資料】

 

なぜか、日本に来たことのある外国の人たちのほとんどが共感する映画

 

ロスト・イン・トランスレーション [DVD]  ビル・マーレイ

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